こんにちは!秋葉原総合歯科クリニック 院長の野村です。いつも当院のブログをご覧いただきありがとうございます。
さて、前回のブログでは「歯周組織再生療法」の概要について解説させていただきました。
詳しくはぜひこちらの記事をご覧ください。
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歯周組織再生療法とは?
「歯周組織再生療法」について改めて簡単に要約すると、歯周病の進行によって失ってしまった歯周組織(歯の機能を支えている歯の周囲の生体組織のこと。例えば歯肉、歯を支える歯槽骨、歯根膜など)を、特殊な薬剤や処置により再生させる治療のことを指します。
今回は、具体的な歯周組織再生療法「エムドゲイン療法」と「リグロス療法」について詳しく解説させていただきます。
エムドゲイン療法
歯周病が進行してしまうと、歯肉だけでなく、歯を支えている顎の骨(歯槽骨)を溶かしていきます。顎の骨が溶けていくと、歯の根(歯根)を支え続けることができず歯がぐらついてきて、最終的には抜け落ちてしまうことになります。エムドゲイン療法は、溶けて失ってしまった顎の骨を薬剤の力を使って再生させる治療方法となります。
この治療方法が確立される以前は、歯周病が進行してしまった部分の歯肉を切開し、感染してしまった歯周組織や病気の原因となる歯石などを除去する処置がおこなわれていました(フラップ手術といいます)。ただ、この治療法では失ってしまった骨を再生させることができないため、知覚過敏になりやすかったり、歯茎が下がって歯が長く見えてしまうなど見た目的な問題が解決できませんでした。
しかし、エムドゲイン療法なら、歯肉だけでなく骨の再生も促すことができるので、歯根が露出することによる知覚過敏や、見た目の問題を改善させることができます。
エムドゲイン療法の流れ
①事前にエムドゲイン療法が使える症状かチェックするため、入念に検査をおこないます。治療ができる症状と確認が取れたら、次のステップに進みます。
②治療該当箇所に麻酔をおこない、歯肉を切開します。
③歯肉に隠れていた歯の根(歯根部分)に付着している歯石などの汚れを取り除きます。
④歯周病により骨が溶けてしまった部分に、再生を促す専用の薬剤を塗り込みます。
⑤切開した部分を縫い合わせて、1週間ほど回復を待ちます。回復が順調に進んでることが確認でき次第抜糸します。
エムドゲイン療法の適応症
エムドゲイン療法は、歯周病が進行してしまったすべての患者さんに施せる万能な治療方法ではありません。次に挙げさせていただいた症状の方には適応可能ですが、それ以外の方の場合、治療をお断わりせざるを得ない可能性もあります。
・垂直性骨欠損
・根分岐部病変
・歯肉退縮
エムドゲイン療法を希望される方に関しては、治療ができるか確認させていただくため、まずは入念な事前検査をさせていただいております。
なお、エムドゲイン療法は保険適用外のため、自由診療となります。
リグロス療法とは
リグロス療法ですが、基本的にはエムドゲイン療法と同様に失ってしまった骨などの歯周組織を専用の薬剤を使って再生させる治療方法です。エムドゲイン療法との違いですが、次の3点となります。
①薬剤に使われている成長因子の違い
エムドゲインに使用されている成長因子は、豚の歯胚から抽出したエナメル基質タンパク質でできていますが、リグロスの場合「bFGF」という「ヒト」の成長因子を用いています。
②保険適用か自由診療(自費診療)であるかの違い
ひと昔前の歯周組織再生療法は、保険が利かなかったためすべて自由診療でしたが、2016年からリグロス療法が保険適応となりました。それにより費用負担が軽くなり治療のハードルがだいぶ下がりました。
③これまでの臨床実績の違い
歯周組織再生療法においてはエムドゲイン療法の方が早くに開発され、今から約30年前(1990年代以降)から世界中の多くの国と地域でたくさんの臨床実績のデータが積まれてきました。一方で、リグロス療法はまだ比較的新しい治療法のため、臨床結果の実績がまだまだ十分に蓄積されていないという側面も否めません。
リグロス療法の適応症
エムドゲイン療法と同じように、リグロス療法もすべての患者さんに治療を施せるわけではありません。リグロスの薬剤は液状となっており、治療しても薬剤が流れ出ないようなケース(骨の失われ方)であることが条件です。ですので、歯の全周で歯肉が下がっているケースや、幅広く骨が失われてしまった場合、薬剤が定着しないため治療の効果が期待できません。エムドゲイン療法と同様に、事前にしっかりと検査を実施し、リグロス療法の適応ケースであるか十分検討する必要があります。
リグロス歯周組織再生療法の流れ
①事前にリグロス療法が使える症状かチェックするため、入念に検査をおこないます。治療ができる症状と確認が取れたら、次のステップに進みます。
②治療該当箇所に麻酔をおこない、歯肉を切開します。
③歯肉に隠れていた歯の根(歯根部分)に付着している歯石などの汚れを取り除きます。
④歯周病により骨が溶けてしまった部分に、再生を促す専用の薬剤を塗り込みます。
⑤切開した部分を縫い合わせて、1週間ほど回復を待ちます。回復が順調に進んでることが確認でき次第抜糸します。
「エムドゲイン療法」と「リグロス療法」ですが、どちらの治療法にも一長一短があります。どちらの治療を選択するかは、検査結果と患者様の希望をうかがいながら、相談の上決めるようにしております。