金属床義歯の特徴について

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前回は保険適用のプラスチック製の入れ歯について解説させていただきましたが、今回は自費入れ歯のひとつ「金属床義歯」について詳しくお話させていただきます。

金属床義歯とは、その名の通り入れ歯の床部分が金属で出来た入れ歯のことで、保険のプラスチック製の入れ歯にはない特徴をもった義歯の事を指します。床に使用する金属の種類によって多少特徴や金額は変わってきますが、大まかに下記のような特徴があります。

①床部分を薄くできるので、異物感が少なく温度感覚も増します

プラスチック義歯の場合、耐久性を持たせるためどうしても床(土台部分)に厚みを持たせることになります。床部分が厚くなると違和感が強くなり話すときに言葉を発しづらくなります。また、床の部分が厚いと温度を感じにくくなるため、食事が美味しく感じられません。
一方で、金属なら床の厚みを1/3程度薄く仕上げることができるため、違和感を少なくすることができます。また、金属だと薄く熱の伝導率も良いため、温度を感じやすく美味しく食事を楽しむことができます。

②丈夫なので壊れにくく耐久性があります

プラスチックで作った入れ歯は、過剰な負荷や衝撃に弱いため、強い力で噛んだり落としたりすると割れたり破損することがあります。しかし、金属はプラスチックと比べて丈夫なため、破折などのリスクが少ないのが特徴です。

③たわみがないので、残存歯への負担が軽く噛みやすくなります。

噛んだ時にプラスチックの床(土台)部分に力が加わると、どうしてもたわみが生じます。土台の部分たわむと、入れ歯を支えている周りの歯に負担がかかるためダメージを与えてしまいます。また、たわむことで力が分散すると噛む力がしっかり伝わりません。金属はたわみが少ないので、残った歯にも優しくしっかりと噛むことができます。

④プラスチック入れ歯のような特有の臭いがつきにくくなります。

プラスチックの表面に付いた小さな傷や空洞から細菌などが侵入し、それが住み着くと悪臭を発することがあります。金属には細菌が住みつきにくい特徴があるので、入れ歯特有の臭いがつきにくく清潔かつ快適に装着することができます。

一方で、金属床には下記のようなデメリットもあります。

①製作に時間がかかる

患者さんのお口にぴったり合った入れ歯をつくるため、歯科医師や歯科技工士が時間をかけて精密な検査や型取り、噛み合わせのチェック等をおこなうため、どうしても時間がかかります。

②自費のため費用が高価

金属床義歯は保険が適用されないため、すべて自費診療(自由診療)となります。工数や材料の原価の関係で価格が高額な上、保険も適用されないので経済的な負担は大きくなります。

③修理がなかなかできない場合がある

製作時に時間をかけて緻密に作り上げる分、壊れてしまった際の修理が大変難しくなります。最悪の場合直せないこともあり得るので、そういったリスクも頭に入れておきましょう。

④金属アレルギー

金属を使った義歯のため、それをお口に入れ続けることでまれに金属アレルギーを引き起こすことがあります。特に金属床義歯で昔からよく使われる「コバルトクロム」は、他の金属と比較するとアレルギーを起こしやすいと言われています。もし金属アレルギーが心配な方は、アレルギーリスクが低いチタンやゴールド(金合金)などお選びいただくことをおすすめします。

主な金属床とその特徴

①コバルトクロム

金属床義歯の素材として以前から使われており、臨床データも豊富で最も歴史のある金属です。この金属は強度がとても高く耐久性があり、熱を伝えやすい特徴がありますが、硬いがゆえに調整や修理が難しいというデメリットがあります。

②チタン

チタンは生体親和性が高く安全なため、とても身体に優しい金属です。腐食しにくい、軽い、アレルギー反応を起こしにくいといった理由からインプラント治療にも使われる安全な金属です。ちなみに、イオンコーティング加工をすることで、色味を患者様好みに調整ができ清潔さも維持することができます。

③ゴールド(金合金)

ゴールドも腐食しにくく生体親和性がよいため、身体に優しい金属です。また、適度な柔らかさをもっているので、精密な加工がしやすい金属です。熱伝導率が大変良いため食べものの温度を感じやすく美味しく食事をとることができます。

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