院長インタビュー
Interview各分野を専門とする歯科医師と
協力し、総合力を高める
Q.まずはこちらに開院される理由をお聞かせいただけますでしょうか。
幅広く、さまざまな患者さんの診療がしたかったからです。
私は2014年から2018年8月まで新橋内幸町にある「日比谷通りスクエア歯科クリニック」で院長を務めていたのですが、そちらもオフィス街にあったので、同じような環境で開業したいと考えていました。
私の専門はインプラント、審美歯科、噛み合わせの治療ですから、この辺りに勤務する会社員の方のニーズがあると考え、こちらに開院しました。
Q.周辺で働いている会社員の方が来やすい立地ですね。
ええ。前勤務先は似たような環境で、30~40代の会社員の方がほとんどでした。こうした比較的に若い世代の方々は、治療法に納得感を持って治療を受けたい人が多いので、丁寧にその方のお口の状態と問題の解消方法をお伝えして理解していただくことが大切。
さらに忙しさもあって痛みなどの症状が出てから歯科に足を運ばれる方が多いので、治療を行ってからの再発予防、定期検診も力を入れていきたいですね。
「何も起こらなければ、歯医者に行く必要がない」と思う方も多いと思いますが、実際ホームケアだけでは限界もあります。年に2~3回で良いので、定期的な検診を行うことで治療する必要のない口内を維持できますし、もし疾患があったとしても早期に治療ができますから、患者さんの負担も少なくなるはずです。
そのような予防や検診の重要性についても、患者さんにはお伝えしていきたいですね。
Q.今後、どのようなクリニックをめざしていきたいお考えでしょうか。
幅広く治療を行いつつ、各分野の専門性が高いクリニックをめざしたいと考えています。
そのために各分野を得意とする歯科医師が在籍する予定で、既に矯正と根管治療を主とする歯内療法、麻酔科の先生は加わってくれることが決まっています。小児歯科の先生にも声をかけていて、口腔外科の先生は探しているところ。
私は勉強が好きなので入れ歯や歯内療法などの勉強会にも参加しますが、やはり勉強と臨床は違います。一人で追求できることには限りがありますから、自分の得意なことを生かしつつ、各分野の専門医と協力することが大切だと思っています。
機器を活用して
精密な治療をめざす
Q.専門家との協力が患者への安心感にもつながると?
そうです。自分がされる治療に納得をしたい患者さんが多いだろうと思いますが、それは私も同年代なのでわかるんですね。
私であれば説明もないままにやられた感覚を持って治療が進むのは嫌ですし、それに歯科は医科よりも総じて費用がかかりますから、「治療を受けて良かった」「来て良かった」という満足感を患者さんには覚えてもらいたい。
その上では丁寧な説明が重要になってくるでしょうし、また、信頼性の担保が必要になってくると思います。
一般の方は歯科医師の技量の良し悪しについてはよくわからないと思いますが、正しい知識を持って、その分野に関する治療を専門的に続けてきた歯科医師であれば安心しやすいのではないでしょうか。
Q.丁寧な説明を心がけているのですね。
食事をする時に、いくら料理がおいしくても店員の対応が良くないと食事全体の印象が悪くなってしまいますよね。
歯科における診療もそれと似ていて、さらに歯科医師の技術はわかりにくいですから、コミュニケーションが大切です。初診時にはコンサルティングルームで患者さんのお悩みやご希望をお聞きして、検査の内容やその結果、考えられる治療の方法のほかに、どのくらいの費用や通院回数が必要かなども伝えます。
そして治療に移行した後はなるべくこまめに声をかけます。治療中は水や粉じんがかからないよう顔にタオルをかけるので、「少し音がします」「振動があるけど大丈夫ですからね」などと次に行うことを伝えて不安を感じられないように配慮していきます。
Q.インプラントの研鑽も積んできたとお伺いしました。
私は学生の頃からインプラントに関心が高かったので、2008年に昭和大学を卒業して研修を終え、すぐにインプラント治療に力を入れている世田谷区の「三好デンタルクリニック」に勤務しました。
同院の三好敬三院長は経験豊富で、歯科医師にインプラントを教えている方です。今では多くの歯科医院でインプラントを行っていますが、同院のような専門性の高いクリニックだと難症例の患者さんも多かったんですね。
他院で治療を受けた後にインプラントが取れてしまった方もいて、そこで5年間経験を積むことで治療の精度の高さを追求できたように思います。
当院では立体画像を撮影できる歯科用CTを備えて密にシミュレーションを行うほか、インプラントの埋入位置や角度、深さが設計されたマウスピース状のサージカルガイドを活用することにより安全でスピーディー、精密な治療をめざします。
Q.開院するにあたり、設備にもこだわったそうですね。
はい。患者さんにより精密な治療を提供したい、そのためには設備や機器をより充実させたいと考えたことが開院を決めた1つの理由にもなります。
ですから当院ではマイクロスコープやオーラルスキャナーを導入しました。滅菌に関しても手を抜かずに、患者さんそして働くスタッフも安心できるような環境づくりを行います。
また患者さんのプライベートな空間をできるだけとることを意識しました。ですから当院はすべて個室となっております。周りの目などを気にせず、私を含めたスタッフには気軽にお話しいただきたいですね。
新しい情報を常に吸収し、
患者の利便性を高めたい
Q.審美歯科と噛み合わせの治療も勤務医時代に学んできたのですか?
そうですね。前勤務先で審美歯科に関するご希望も多く、噛み合わせの治療もたくさん経験しました。
噛み合わせとしては特に詰め物やかぶせ物である補綴物の治療に力を入れていて、いかに歯とフィットする補綴物にするかを重視しています。対象物を約20倍まで拡大できるマイクロスコープを使って歯と補綴物の接合部をよく見て、すき間が生まれないように注意しながら治療を進めていきます。
補綴物の治療を行う際には患者さんの歯をできる限り残すことを大切にし、マイクロスコープを使うことによって歯の切削量も最小限にすることが可能と考えています。
Q.ところで、先生はなぜ歯科医師を志されたのですか?
両親がインプラント治療を受けたことがきっかけですね。
当時は小学校の低学年で、具体的な治療の内容まではわかりませんでしたが、母と父はともに快適に食事ができることを喜んでいました。
その時に歯医者さんはすごい仕事をする人なんだなあとぼんやりと良い印象を抱いたことを覚えています。それに両親が治療を受けた先生は私たち家族のかかりつけの歯科医師で、とても優しい人でした。ひと昔前は怖い先生が多かったという人もいますが、私にとってはまったくそんなことはなく、先生の存在も歯科医師にポジティブな印象を抱かせた一因かと思います。
Q.最後に、改めて読者にメッセージをお願いします。
各分野を専門とする歯科医師と協力しながら質を重視した治療を幅広く行っていきます。それが「総合」を含む当院の名前の由来でもあります。
今は歯科医療の世界でもデジタル化の波が押し寄せていて、インプラント治療においてはスキャナーを使うことで型採りが不要になりました。専用の機器を使うことで精度を高め、かつ患者さんにとっても負担の少ない検査・治療を行うことにつながるので、今後も時代時代における先端的な情報を追って診療に反映させていきたいと考えています。
お忙しい患者さんが多いことと思いますが、一度、当院でのCTやマイクロスコープを使った検査を受けておくと、自分の今の状態と今後の対策がクリアになると思います。健康を守るためのとっかかりができてセルフケアにも生かせるのではないでしょうか。