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インプラント治療とひとことで言っても、実は色々な種類の治療方法があります。今回は患者さんの体への負担が少ない「フラップレス手術」について詳しく解説させていただきます。
フラップレス手術とは
早速ですが、「フラップレス」という言葉は「フラップ(flap)+レス(less)」が合わさった言葉です。フラップオペ(flap operation)は日本語で「歯周外科手術」を意味し、歯周組織(歯肉・歯茎)の外科手術を指します。つまり「フラップレス手術」というのは歯肉・歯茎の外科処置(切開)を最小限に留めて体への負担を軽くし、インプラントの埋入手術をおこなう術式のことを意味します。
一般的なインプラント埋入手術の場合、歯茎を切開・剥離した後、顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み縫合するという手順を踏みます。一方、フラップレスの術式によるインプラント治療は、切開・剥離・縫合といったステップを省略するため、傷口も小さく済み、手術時間も短縮することができます。また、専用ソフトでシミュレーションした結果をもとに、手術用ガイドというマウスピースのような装置をつくり、それに従って処置を進めるので、より精密かつ安全に埋入手術をおこなうことができるのです。
このようにメリットも多いフラップレス手術ですが、どの歯科医院でも対応できるわけではありません。一般的なインプラント治療の技術を十分に身に付けた経験豊富な歯科医師、精密に検査ができるCTやシミュレーションソフト等の医療機器、安全に治療をおこなうための滅菌機器や衛生管理体制などの条件がすべて揃っていないとおこなうことができないのです。
通常のインプラント治療の流れ
①事前相談・カウンセリング、契約
②CT撮影・診査と治療計画
③1次オペ(インプラント体の埋入)
※インプラント体と骨が結合するまで待機(6か月から1年程度)
④2次オペ(アバットメントの装着)
⑤上部構造(人工歯の作成)
フラップレス手術によるインプラント治療の流れ
①事前相談・カウンセリング、契約
②CT撮影・診査と治療計画
③専用ソフトを使っての事前シミュレーション
④手術用ガイド(サージカルガイド)の作製
⑤インプラント体の埋入・支台(アバットメント)と仮歯の装着
※インプラント体と骨が結合するまで待機(6か月から1年程度)
⑦上部構造(人工歯)の装着
フラップレス手術のメリット・デメリット
<メリット>
◆オペ時間が短く済みます(歯茎の切開・剥離・縫合が省略されるため)
◆歯茎の切開が不要な術式なので傷口が最小限で済むため、体への負担が軽減できる(腫れ、出血、痛みを抑えられます)
◆手術当日に仮歯まで付けられるので、帰宅後すぐに通常の社会生活や仕事に戻れますし、柔らかいものならすぐに噛めます。
◆専用ソフトを使って事前にシミュレーションし、手術用のサージカルガイドという装置を作った上で処置をするため、より精密かつ安全に手術をおこなうことができます。
◆歯茎の切開など外科処置が少ないので、本来施術が難しい高血圧症や糖尿病など全身疾患のある方でも治療が可能になる場合があります。
◆侵襲(外科処置で体に傷をつけることによるダメージ・負担)が最小限で済むので、通院回数・治療期間を減らせます。
◆歯茎の切開、剥離、縫合をおこなうと歯茎が引きつれて下がることがありますが、フラップレス手術なら、このリスクを少なくすることができます。
<デメリット>
◆歯茎から直接インプラトを埋入するので、顎の骨(歯槽骨)を直接目視することなく処置を進めることになります。事前の診査・診断、シミュレーション、歯科医師に確かな経験と技術が必要なため、治療を受ける歯科医院は慎重に検討する必要があります。
◆手術を始めて事前シミュレーションと異なる状況や不確定要素が見つかった場合、安全性を重視して通常の切開を伴う処置に切り替える場合もありえます。
◆口腔内の状態や顎骨の質や量によっては、フラップレス手術ができない場合もあります。
◆切開を伴うインプラント手術に比べ、事前シミュレーション、サージカルガイドの作成など工数が余計にかかるため、費用が高くなります。
◆歯科用CT、コンピューター上シミュレーションするためのソフト、安全に手術ができる衛生的なオペ室、滅菌システムなど、高度な医療設備が整っている歯科医院でないと対応ができない手術となります。