マウスピース矯正で治しにくい歯並びは?

いつも秋葉原総合歯科クリニックの公式ブログをお読みいただきありがとうございます。ここ最近注目を浴びている「マウスピース矯正」ですが、すべての歯並びを治すことができるわけではありません。今回はマウスピース矯正で治しにくい歯並びやケースについて説明させていただきます。

まず最初に、マウスピース矯正で治せる可能性のある歯並びはこちらです。

◆歯がデコボコしている叢生
歯並びが前後ガタガタに重なって生えてしまっている状態です。

◆すきっ歯(空隙歯列)
歯と歯の間に隙間ができてしまっている「すきっ歯」の状態です。

◆軽度の出っ歯(上顎前突)
上顎が前に突出している、いわゆる「出っ歯」の状態です。

◆受け口(下顎前突)
下顎が前に突出している、いわゆる「受け口」の状態です。

◆前歯で噛めない(開咬)
奥歯でものを噛んだ際、前歯が嚙み合わず隙間ができてしまう状態です。

◆深い噛み合わせ(過蓋咬合)
上下で噛んだ時、噛み合わせが深すぎて上の歯が下の歯を覆い、下の歯がほとんど見えない状態です。

◆噛み合わせが横にずれている(交叉咬合)
噛んだ時に上下の歯の真ん中(正中)が横にずれてしまっている状態です。

 

一方で、マウスピース矯正が難しい歯並びとケースはこちらです。

 

マウスピース矯正が難しい3つの歯並び

1.重度の出っ歯
歯科医療の専門的用語で「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」と呼ばれる症状です。見た目が悪いだけでなく、口呼吸になりやすかったり、嚙み合わせが悪くなるなど様々な支障をきたす場合があります。重度の出っ歯の場合、抜歯が必要になる場合もあります。また、骨格的な異常が出っ歯の原因になっている場合もあるため、その場合は外科矯正の対象となる場合があり、マウスピースだけでは矯正が難しいのが現実です。

2.重度の受け口
出っ歯とは逆で、医療専門的用語で「下顎前突(かがくぜんとつ)」と呼ばれる症状です。「顎がしゃくれている」と表現されるような顔立ちになる他、重度になると発音障害、咀嚼(そしゃく)障害、噛み合わせ異常など様々な影響がでてきます。こちらも骨格的な問題である場合が多く、外科矯正の対象となる場合があるため、マウスピースのみでの矯正治療が難しくなります。

3.重度の叢生
なぜ歯並びが叢生になるかというと、永久歯の生えるスペースが不足することで、本来歯が生えるべき場所とは違うところに生えてしまうからです。結果として歯並びがガタガタになり見た目や咀嚼機能に悪影響を及ぼします。歯を動かすためのスペースを作るためには抜歯が必要になる場合が多く、マウスピース矯正のみでは治療が難しくなります。

 

マウスピース矯正が難しい5つのケース

1.重度の歯周病にかかっているケース
矯正治療をおこなうためには顎の骨が正常な状態でなければなりません。重度の歯周病になると、顎の骨がもろくなり再生しにくくなるため、歯が移動した先でしっかり定着してくれません。結果として矯正治療がうまくいかないのです。

2.多数の抜歯が必要なケース
マウスピース矯正は、歯の大きな移動には不向きな治療となっています。抜歯で出来た大きな隙間を歯を動かすことで埋めるには、マウスピースだと不十分なのです。歯並びを綺麗にするために多数の抜歯をしなければならないケースだと、マウスピース矯正はあまり向きません。

3.インプラントが入っているケース
これはワイヤー矯正もマウスピース矯正も同じなのですが、矯正治療で動かせる歯は「天然歯」であることが絶対条件です。厳密にいうと「天然歯の歯根」があることが重要で、虫歯治療などで詰め物、かぶせ物をしていたとしても天然の歯根がしっかりあれば歯を動かすことができます。インプラントは人工の歯根を顎の骨に埋め込み、そこにかぶせ物を装着しているので、矯正の力を加えてもインプラント体は動きませんので注意が必要です。

4.その他専門医による治療や処置が必要な症状があるケース
咬合圧(噛む力)が強すぎる場合、重度の出っ歯や受け口など顎の骨格に問題がある場合
、重度の顎関節症の場合など、マウスピース矯正だけで治すことができません。場合によっては外科手術なども必要になるため、専門医を受診し治療を終えてから矯正治療をおこなう形になります。

5.歯科医師の指示をきちんと守れない場合
マウスピース矯正は、毎日の装着時間をきちんと守ったり、決められたタイミングでマウスピースを交換するなど、歯科医師の指示をきちんとお守りいただく方でないと治療の効果が現れません。きちんと指示を守り自己管理ができる方でないとマウスピース矯正治療は成功しません。

 

マウスピースでの治療が難しいと診断された場合

ます重度の歯周病にかかっている場合は、そちらの治療をきちんと完了させていただく必要があります。

顎の骨格的な問題や重度の顎関節症をお持ちの場合、専門医療機関を受診いただき、そちらを治していただくことをお勧めしています。

また重度の「出っ歯」「受け口」「叢生」の方は、ワイヤーによる矯正をお勧めする場合があります。症例によっては、部分的にワイヤー矯正をしてからマウスピース矯正に移行できる場合や、マウスピースとワイヤーを併用できる場合があります。

以上マウスピース矯正で治しにくい歯並びについて説明させていただきましたが、患者さんごとに症例や状況が違うため、できる・できないの判断を一律でくだすことはできません。ぜひ一度ご来院いただき、矯正担当医にご相談いただければと思います。

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