いつも秋葉原総合歯科クリニックの公式ブログをお読みいただきありがとうございます。今回はマウスピース矯正の際に歯につける「アタッチメント」の必要性について解説させていただきます。治療を成功させるためには必要不可欠なものなので、どのようなものなのか、ぜひ事前にご理解いただくとよろしいかと思います。
マウスピース矯正治療でなぜアタッチメントが必要なのか?
マウスピース矯正は、歯全体を掴むようにして動かしてきます。そのため、小さい歯や丸みがある歯はどうしてもマウスピースで掴みきれない時があります。その際に、アタッチメントが無いとマウスピースがしっかり歯にフィットせず浮いてしまい、歯全体に力がかからない状態になることがあります。すると、シミュレーションした通りに正しく歯が動かなくなるため、矯正治療の失敗につながります。マウスピースが歯にしっかりフィットし、力が加わるようにするため、歯にアタッチメントという突起物を付けて装置が浮いてしまうのを防ぎます。
アタッチメントはどんなものなのか?
アタッチメントは、歯の表面に固定するポチっとした白の突起物のことを指します。素材は「レジン」という歯科用のプラスチックでできており、専用の接着剤で歯の表面に取り付けます。このアタッチメントはマウスピースを装着した際に、マウスピースのくぼみとぴったりはまるようになっています。つまり、マウスピースからの力が歯にきちんと加わり、治療が正しく進むよう補助をしてくれるものとなります。なお、アタッチメントは歯に近い色を選択し取り付けるので、そこまで目立つものではありません。マウスピース矯正治療中はずっと付けたままにしておきますが、治療が終わり次第取り外します。
<アタッチメントの種類>
①「通常アタッチメント」
矯正担当医が必要と判断した部分に、長方形や楕円形等の形状のアタッチメントを手作業で取り付けます。一般的に、通常アタッチメントは最適アタッチメントと比較して大きく目立ちやすい形状となっています。
②「最適アタッチメント」
歯の動かし方に応じて、インビザラインのメーカー「アライン社」のクリンチェックソフト(=シミュレーションソフト)が自動的に最適な形や部位を判断し、設置します。最適アタッチメントは一般的に小さく目立たない形のものが多いです。なお、最適アタッチメントには以下のようなものがあります。
◆オープンバイト(開口)用最適アタッチメント
オープンバイト(開口)とは、奥歯を噛んだ時に前歯が噛み合わないこと(隙間ができる状態)を言いますが、それらの不正咬合を改善させるために使うアタッチメントです。
◆ディープバイト用最適アタッチメント
ディープバイトとは、前歯の噛み合わせが深すぎるため、噛んだ時に下の前歯が見えなくなる状態のことを指します。それらの不正咬合を改善させるために使うアタッチメントです。
◆ルートコントロール用最適アタッチメント
歯の根の部分(ルート=歯根)を動かしたい時に使うアタッチメントで、前歯の隙間(正中離開)がある時などに使われます。
◆回転用最適アタッチメント
歯のねじれを回転運動で補正することをローテーションと言いますが、この動きは達成率が低い難しい動かし方のひとつです。回転用最適アタッチメントの力も利用して目標の角度まで歯を動かします。
◆アンカレッジ用最適アタッチメント
重度の叢生(そうせい=歯並びがガタガタなこと)や上下顎前突症などで抜歯をした際、隙間をうまく塞ぐように歯を動かすためのアタッチメントです。
アタッチメントで起こりやすいトラブル
①ちょっとした拍子で取れやすい
アタッチメントは歯を動かすための力に耐えつつ、治療が終わった際にはきちんと取り外せるよう絶妙な力で歯の表面についています。しかし、何かにぶつけたりマウスピース脱着の際に過度な力が加わると取れてしまうことがあります。アタッチメントが取れたことですぐに支障がでるわけではありませんが、放置すると計画通りに歯が動かなくなるので、早急に矯正担当医にご相談ください。
②違和感や痛みがでる可能性がある。
歯の表面に突起ができるため、最初つけた際に違和感や痛みがでる可能性があります。ただし、つけているうちに慣れてくるので、2~3日程度で痛みや違和感は消える場合がほとんどです。もし痛みや違和感がいつまでも消えない場合は、すぐに矯正担当医にお知らせください。
③マウスピースが外しにくくなる
マウスピースが歯にぴったりフィットしていると、取り外しにくくなることがあります。無理な力を加えて外そうとすると、装置の破損などの原因になりますので、必ず歯科医院にて正しい外し方を教えてもらいましょう。
④プラスチック素材なので、着色する可能性がある
アタッチメントは「レジン」という歯科用プラスチックでできているので、色の濃い飲食物を口にすると着色する可能性があります。色の濃いものはアライナーを外してから口にするとそれほど着色しないので、必ずアライナーを外して飲食するようにしましょう。